中耳炎というのは医師国家試験に合格したての耳鼻科研修医が、最初に一人で診ることになる病気でした。
当直勤務の際、夜中に起こされて月並みに「耳が赤いですね」と言って 痛み止めと抗生物質を出すところが始まりでしょうか?
(今は研修制度が昔と異なる為、多少事情は違うかも知れませんが……。)
現在、中耳炎は耐性菌の増加により、治療の重要性が増している病気になってきています。
重症化、遷延化しているものが増えてきているのです。
昨今は新しい抗生物質などの開発ペースも落ちてきており、
こういったパターンが限界を迎えつつあります。
実際に当院で診療を行っている患者さまもそのような方が増えてきているように感じます。
以前はそれに対する無力感も多少は感じていましたが、現在では内視鏡を活用することで、患者さまに観てもらって納得して頂くことはもちろん、自分自身が高い精度で診断ができ、データ記録をしておくことで 記憶に頼らない より精度の高い診療を実現することができるようになって参りました。
言葉で患者さまを説得していた頃に比べ、実際の鼓膜を見せることで説得力が増してきたので、
今までは患者さまが迷っていたり 不安そうにしていると、こちらも躊躇(ちゅうちょ)するようなこともありましたが、一緒に患部を見ることで 必要な治療を それまで以上に自信を持って勧めることが出来るようになり、親御さんも安心して一歩を踏み出して治療に臨めるようになった事をひしひしと感じています。
町の診療所ではあるために、診療の精度は上がっても、全身麻酔など院内では治療が難しい場合や、治療そのものが困難なケース(耐性菌でジュクジュクになっていたり、鼓膜が薄くペラペラになってしまう例など)があることも確かです。
しかし色々な耳鼻科を回ってモヤモヤとした思いを抱えてゆきながら、中耳炎の治療を長期に渡って あるいは繰り返し発症して日々が経過している親御さんも多いかと思います。
そのような方に対しては、ドクターの説明だけでなくそうした実際の画像や映像を見てもらうことでご納得頂いた上で、最善の方法を考えることができるようになったと自負しています。
また、より高い治療効果を得るため、最新のレーザー鼓膜切開装置オトラム(OtoLAM)を導入しました。(⇒詳しくはコチラ)
耳の診察は ほぼ100%内視鏡を用いておこなっています。
Before
After
急性期には鼓膜が赤く腫れあがっていますが、治療と共に赤み・腫れがとれてきています。
ただし、滲出液が見られるためもう少し治療が必要な状態です。
Before
After 第一段階
After 第二段階
初期の状態では、白い塊に混じって黒い点々のようなものが見えるのが真菌(カビ)の特徴です。経過と共に塊が大きくなり黒い点は目立たなくなっていますがまだまだ治療は必要な状態です。