アレルギー性鼻炎は通常、「通年性」のものと、「季節性」のものに分類されますが、花粉症は「季節性」に分類されるアレルギー性鼻炎と言えます。アレルギー性鼻炎の原因となる抗原は、日本ではハウスダスト(ダニ)が最も多く、次にスギ花粉、その他にはカモガヤ花粉、ブタクサ花粉、カビ(真菌)等があります。花粉症は鼻の中の粘膜でアレルギー反応(原因となる花粉と抗体が結びつき、鼻の粘膜を刺激すること)が起きることによります。
花粉飛散開始の少し前から、もしくは症状が少しでもあらわれた時点で薬物療法を開始する治療法で、症状の重症化を抑えられます。2013年よりc改訂された鼻アレルギー診療ガイドラインに従うと
飛散開始予測日からの服用が理想的ただし、症状の重い方は飛散開始の1~2週間前を推奨
※花粉は前年の12月頃からも少量ずつではありますが飛散開始しています。そのため、過敏性が強い方は従来通り早めの対策をして頂くことを推奨しており、個々の症状の出る直前からの服用が望ましいと言えます。
鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会. 鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症―2013年版 ※表:各症状の程度
最重症 | 重症 | 中等症 | 軽症 | 問題ない | |
くしゃみ発作 (1日の平均発作回数) | 21回以上 | 20~11回 | 10~6回 | 5~1回 | 軽症未満 |
鼻汁 (1日の平均?鼻回数) | 21回以上 | 20~11回 | 10~6回 | 5~1回 | 軽症未満 |
鼻 閉 | 1日中完全につまっている | 鼻閉が非常に強く、口呼吸が1日のうち、かなりの時間あり | 鼻閉が強く、口呼吸が1日のうち、時々あり | 口呼吸は全くないが鼻閉あり | 軽症未満 |
日常生活の 支障度 | 全くできない | 手につかない ほど苦しい | (中等症)と(軽症)の中間 | あまり 差し支えない | 軽症未満 |
※日常生活の重症度=仕事・勉学・家事・睡眠・家事などへの支障
花粉症の治療を受けられている患者様の大半が導入療法です。
初期療法を受けずに症状がひどくなってしまった場合や、花粉の飛散の本格化により初期療法で使っていたお薬だけでは抑えることができなくなる場合があります。その際に症状が強くなってからの「導入療法」を行い、薬を追加したり、変更したりしています。当院では100種類以上の投薬組み合わせの中から、花粉の飛散状況だけでなく、患者さん個々の症状やライフスタイル、ご希望を勘案して最適なお薬の組み合わせを選び出す取り組みを行っています。また、初期療法や導入療法により良くなった症状を維持する「維持療法」も行っております。花粉飛散中は原則として薬の服用継続を当院はおすすめしております。
当院では最も一般的に行われている投薬療法では抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬(ヒスタミン等の化学物質の遊離を抑制する薬)、ステロイド点鼻薬等が主に使用されます。これらの薬を症状に応じて使い分けて症状の改善を図ってゆきます。
リノライト治療は特殊な光線を鼻粘膜に照射するだけで、アレルギー誘発細胞の活動を抑制し、アレルギー性鼻炎(花粉症)の症状を和らげたり、あるいは完全になくすことができます。リノライト治療はまだまだ日本国内では数えるほどの台数しか導入されていないアレルギー性鼻炎の最先端治療です。
対象年齢は15歳以上の方です。(14歳以下の患者様は医師との相談が必要です。)
治療は保険適用外治療のため、自費診療になります。当院では原則6回の治療が20,000円です。
レーザー治療は鼻の粘膜そのものを焼いて、過敏に反応する鼻の粘膜のアレルギー症状を抑える方法です。レーザーは体の様々な場所の治療に利用されていますが、鼻や耳など耳鼻咽喉科領域でも幅広く活用されています
毎年憂鬱な春先の季節。毎日の花粉の飛散情報に神経を尖らせながら、薬を欠かさず服用し、鼻ににもスプレー、外出時はマスクやメガネで体を防備する日々...。
そのような面倒で辛い日々から、開放される可能性を秘めた治療法がこの舌下免疫療法です。
今年の10月から保険適用が開始となり、最近メディアで注目されている、スギ花粉症を根本から治す可能性がある舌下免疫療法。毎年春先のスギ花粉症に悩まされていた患者様にとって、スギ花粉症の症状を大幅に軽減できる、もしくは克服することができる可能性がある治療法と言えます。
体質を変えることで、花粉症を根本から改善する方法はこれまでも「皮下免疫療法」と言われる治療法が存在していました。皮下免疫療法は2年~5年医院に通院の上、アレルギーを引き起こす原因となる物質の注射用エキスを少しずつ注射にて体内に入れて、徐々に体をアレルギーの原因物質に慣れさせる治療法です。エキスを体に入れていくので、率直に申し上げて「痛い」治療法です。よって、継続的に治療を行うハードルが高く、幅広く普及することはありませんでした。今回保険適用となった「舌下免疫療法」は舌の裏側にエキスを滴下する治療法であるため、これまでの注射での免疫療法に比べて下記のようなメリットがあります。
皮下免疫療法 | 舌下免疫療法 | |
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①治療に伴う負担 | 注射による痛み腫れを伴う | 経口なので負担が少ない |
皮下免疫療法では、毎回注射を行うため痛みを伴ったり、注射部位が腫れるので大変でしたが、舌下免疫療法では口に含むため痛みはありません。 | ||
②副作用 | まれに重篤 | 少ない |
双方とも副作用に関しては少ないとされていますが、皮下免疫療法では、アナフィラキシーショックと呼ばれる強いアレルギー反応が出たという報告があります。舌下免疫療法は、試験段階での重篤なアナフィラキシーショックの報告はなく、舌下免疫療法は副作用についても、口や唇が腫れる程度で軽度と報告されています。 |
※但し、舌下免疫療法についても免疫療法であり、アナフィラキシーショックの可能性が無い訳ではありませんので予めご理解下さい。また、舌下免疫療法を実施頂くためにはいくつかの健康状態に関する制限がございます。
スギ花粉症に対しての治療法であるため、その他のアレルギーをお持ちの患者さまは効果があまり期待できない可能性が高い。
舌下免疫療法の治療薬であるシダトレンはスギ花粉に対して、免疫を作る治療法です。ヒノキ・カモガヤ・イネ・ハウスダストといったその他のアレルギー物質では効果を強く期待することができません。尚、アレルギー症状が重篤な方や複数のアレルギーを持つ方に対しても効果を強く期待することができません。
スギ花粉の飛散時期以外にも治療中は毎日投与していただきます。もし、途中で治療を中断してから、再開した場合は副作用を引き起こす可能性もあります。そのため、長期間治療を続けられる方にのみ推奨しております。
2年以上の治療を継続していただいたにも関わらず、残念ながら、治療を受けていただいた方の2割の方には効果が見られないと言われます。長期にわたる治療効果を望んだ上で、薬を減らす治療・症状を軽くする治療と捉えていただいてる方のみに推奨しております。
注射による減感作療法のようにアナフィラキシーショックのような重篤な副作用の報告は未だありませんが、体に免疫を作る治療法であるので患者様によっては重篤な副作用が起こる可能性は否定できません。現状で確認されている副作用としては下記のようなものが挙げられます。
尚、上記のような副作用はよく見られる傾向にあるので、発症当日は経過を観察し、症状が治まらない場合は翌日受診してください。但し、以下のような重篤な副作用がみられた場合は直ちに救急車を要請するなど、迅速な対応をしてください。
上記の点にご理解いただいた上で舌下免疫療法を実施したいとお考えになられる方は一度当院にお問い合わせください。(初回診察は予約制となっております。)
TEL:072-684-8733にお電話ください。
舌下免疫療法の治療をご希望される方は治療開始前に治療法のご説明をさせていただきますので、最初の1回目はお時間がかかります。そのため、「舌下免疫療法の受付は午前診療は11時30分まで・午後診療は17時30分まで」とさせていただきます。