内視鏡がもたらす様々なメリット
まだまだある内視鏡のメリット
一瞬の挿入時間で的確な診察が行える
診察というのは、受ける側にも緊張を強いるものです。耳の中を診られるというのは大人であっても、怖いものです。
しかし、しっかりと診察しようと思うと、それなりの時間がかかります。
「鼓膜は赤いのか?凹んでいるのか?それとも膨らんでいるのか?お汁がたまっているのか?穴は開いていないか?」
気になることが多いほど、診察の時間は延びてしまいがちです。
内視鏡を用いる診察により、耳内に器具を挿入する時間を短縮できます。
撮影は一瞬。
観察はその後、ゆっくりと写真を確認すれば良いのです。
ドクター毎の主観の差が入りにくい診療が可能になる
当院においては、待ち時間の短縮を実現するために複数医師による2診制を行っております。おかげさまでご好評をいただいておりますが、2診制は当事者である我々医師にとってはコミュニケーション上の問題点を抱えています。
それは医師ごとの主観の差です。
「発赤ありとカルテに書いているが、どれ位赤かったのか?」
「今見えている滲出液は前回からあったのか?」
など同じ医師においての前回との比較でも難しいのに、異なる医師になった場合は更に診断が困難になります。
内視鏡による診療は記憶による診察を不要にするだけでなく、異なる医師の主観にも左右されない的確な診断を可能にします。
常に患者さんに確認頂くために誤魔化しのない、緊張感を持った診療を行います。
これらの優れた特徴を持つ内視鏡の診療ですが、我々医師にとっては必ずしも診察を楽にしてくれるばかりとは言えません。
これは既に当院の診察において言えることですが、毎回ご自身やお子様の鼓膜を見ている患者様は、中耳炎や鼓膜そのものに対する理解が深まってきているようです。
「良くなってきてますね」
「あれ?今回ちょっと赤くなってない?」
それどころか写真を見た瞬間、何も説明していないのに
「あ~!せっかく良くなって来ていたと思っていたのに~」と先にガッカリされる方もいるくらいです。
このような患者様を相手にしては、こちらも油断してはいられません。常に真剣勝負を強いられます。しかし、これは患者様にとっては望ましい状況と言えるでしょう。
これまで耳鼻科の診療において、医師の言葉が患者様にとっては唯一の情報でした。これからは内視鏡を用いた診療が、我々医師と患者様の情報格差を埋める役割を果たします。
これによって、我々にもたらされた緊張感は必ずや治療の質を向上させるでしょう。