新京町やまもと耳鼻咽喉科の内視鏡を使った診断についてご案内致します。
知ろう!学ぼう!「見える」はわかる!内視鏡サイト 新京町やまもと耳鼻咽喉科 監修

chapter.03百聞は一見に如かず〜医療IQの向上〜

 

百聞は一見に如かず

見える医療で、理解を深める。医療IQの向上で情報共有

今まで一般的な耳鼻咽喉科では、ドクターから耳や鼻の状態を説明され、患者さんはそのドクターの表現力を頼りに自分の病状を想像するにとどまっていました。
残念ながら人の表現力には限界があります。
「百聞は一見に如かず」という諺(ことわざ)がありますが、医療においてもまさにこの諺がピタリとあてはまります。いままでどんなに我々ドクターが熱心に説明を行っても、どんなに表現力を学んだとしても、世の中の技術進化により実現した、何枚かの高画質の画像達には適いません。
一瞬で、多くの情報を画像は患者さんに伝えることができます。

当初は「患者さんにわかりやすく診療ができれば良い」と思ってこのシステムを導入したのですが、これは結果として思わぬ効用をもたらしました。
下記の対話にあるように、患者さん、あるいはその親御さんが写真を見るにつけ、少しずつ鼓膜とはどのような状態が正常で、
どのような状態が異常なのかが写真を通して学習され、場合によっては我々医師が説明を加えずともご理解される方が増えてきたのです。
 

例えば、以下のようなやり取りが患者様との間で行われる例です。



ケース.01 「外耳道炎」のBさんの場合

Bさん
「おお、スゴイ、(耳の中の)写真がずらっと並ぶんですね!」
ドクター
「そうなんです。耳の穴から順に外耳道をとおって、これらがBさんの鼓膜の写真ですね。」
Bさん
「鼓膜ってこんな風になってるんですね…」
ドクター
「Bさんの場合、比較的鼓膜は綺麗ですね。外耳道、つまり鼓膜までの耳の穴をを耳かきでかなり傷つけていらっしゃるのでこちらに関して耳かきは一旦ストップして、治療を行いましょう。」

ケース.02 「急性中耳炎」のZくんの場合

治療前
治療後
Zくんママ
「あ、腫れてたのが取れてますね」
ドクター
「前回から比べると随分腫れがひいてますね。
この調子でお薬をもう少し続けて頂いて、完全に治してゆきましょう。」
Zくんママ
「写真で見えると状態がすぐにわかっていいですね。子供にちゃんとお薬を飲ませようという気持ちが強くなります。」

ケース.03 「滲出性中耳炎」のEちゃんの場合

前回
今回
Eちゃんママ
「うわ…、またお汁が増えてますね…」
ドクター
「滲出性中耳炎は良くなったり悪くなったりをこの時期は繰り返しますからね。滲出液をこまめに空気を通して抜くようにして、治癒につながるように協力して取り組んでいきましょう」
Eちゃんママ
「本当ですね。これだと聞こえにくいやろうなあ。またしばらくは、こまめに通うようにしますね。」

ケース.04 「鼻中隔弯曲症」のNさんの場合

右の鼻腔内
左の鼻腔内
Nさん
「僕の鼻はこんな風に曲がってるからつまるんですね」
ドクター
「これはかなり曲がってますね。左のお鼻(右図)は空気の通り道がかなり狭いですね。これでアレルギーで鼻が腫れると完全にこちら側は息ができなくなるでしょうね。」
Nさん
「確かに花粉の時期はほとんど鼻で息ができませんわ」
ドクター
「アレルギー症状を極力起こさないように薬でコントロールしていきましょう。薬を使っても鼻づまりが改善しない場合は、少し入院が必要ですけど曲がっている軟骨を矯正する手術をしてもらうよう、病院に紹介することもできますので」
Nさん
「手術ですか!でもこんなに曲がってるのなら確かに必要かもしれませんね。一度考えてみます」

...いかがだったでしょうか?
 

やはり御自身やお子さんの耳や鼻の状態がはっきりと認識できると
このように、治療上望ましい行動を起こされる方々が増えてきたのが何よりの驚きでした。
実際のところ、内視鏡で患部を確認して頂いた患者さんは全体的に治癒が通常よりも早まっているような印象があります。
 

そうした医療IQの向上を患者さんへ啓蒙することで、あるいは患者さんに驚いて頂けたり喜んで頂ける体制を整えることによって、
結果として患者さんの健康に役立てることが、我々診療に携わる人間にとっても大きなモチベーションになります。
是非、新しい内視鏡診療のスタイルを体験して頂き、ご感想をお聞かせ頂ければ幸いです。